ベストシステムズ メールマガジン
公開日:2009/11/01

【第124号】TOP500特集1回目 TOP500の意義

まもなく2009年第二回目TOP500が発表されます。当メルマガではこれから3回に分けてTOP500の話をしようと思います。

先日、SS研でJack Dongarraの講演を聞いてきました。もちろんTOP500の話ですが、その中で日本の民間企業はTOP500に乗るほどのスパコンを持っていないとの発言がありました。実はTOP500の内、60%の313システムが民間なんです。でも日本の民間企業は、1つも含まれていません。それでは、日本の民間企業にはスパコンがないのでしょうか? 一部の方はご存知かもしれませんが、昨年ほんの一瞬だけ日本の民間企業が上位にリストされたことがありました。しかし、正式な発表の前に突然リストから消えたのです。それがどの企業だったかは、ここでお話することができませんが、これが日本の民間企業の現実だと思います。スパコンは持っているけど、持っていることも性能も公開したくはないのです。もちろん欧米に比べれば台数は少ないかもしれません。ですが、有名な自動車会社がどこも数千ノードのクラスタを所有していることは、誰でも知っています。ただ、一気に大型クラスタを購入するのでなく、目的に応じて、数百ノードのクラスタを年に数回購入しているのが現状です。もしこれらのシステムを統合して一気にTOP500に登録するようなことになれば、日本の地位もかなり向上することでしょう。
TOP500に日本のシステムをもっと掲載するためには、啓蒙活動が必要ですね。

さて、TOP500に掲載されることの意義についてです。TOP500は元々アメリカで始まりました。最初は、ドンガラリストと呼ばれていました。今では、年に2回アメリカとヨーロッパで発表されるイベントになりました。確かに昔は、システムアーキテクチャや先端技術を競う場であったと思います。昔と違って、今やどのシステムも、使っているCPUはどこにでも売っているアメリカ製だし、お金さえ出せば比較的簡単に1位をとることが可能です。だから、サウジアラビア、中国などの国々も上位に入ることができます。そんなTOP500リストに何の意味があるのでしょうか? 現在はもう、昔のような技術力の勝負ではなくなっているのです。
TOP500の意義とは、その国が如何に科学技術分野で大規模なシミュレーションを行う力を持っているか、または必要としているのかというバロメータなのです。そのバロメータは、国の評価(技術力、経済力)につながります。その意味からもTOP500に国としてなるべく上位に、そしてなるべく多くのシステムを入れる必要があるのです。

実は次世代スパコンに限らず、日本では他の国と比べて、多くのお金をスーパーコンピュータに投資しています。ですが、お金の割に大規模なシステムを購入していません。何故でしょう? 一番大きな問題は、利用者が既存のシステムにこだわり、アーキテクチャの大幅な変更を望まないからです。そんな利用者を守るために、高価な従来のシステムに予算を削られ、新しいアーキテクチャへの投資額が小さくなってしまいます。これでは、先端的な大規模研究を飛躍的に進めることができなくなります。私は、全ての古いシステムを捨てろとはいいません。例えば、7個の全国共同利用施設となっている計算センターで地域に拘らず利用者の住み分けをしてもいいのではないでしょうか?

第二回目では大学、研究所でのシステムについてお話をしたいと思います。

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